子どもたちに知らせて
この話、そう、あの人がうちにやってきたのは、クリスマスのちょうど一週間前のことでした。
私は、一日の面倒な家事をやっと終え、そろそろ寝ようかなぁー、と思った時のことです。家の外で何か物音がするので、玄関をそっと開けて見てびっくり!
な、なんとサンタクロース、まさにその人が、大きなクリスマスツリーの陰からすっと現れたのです。「しー、静かに」彼は人差し指を口に当てました。
「一体何しているの?」と言いかけた時、私は言葉を失いました。だって、彼の目から涙があふれそうだったからです。いつもの彼の元気な様子は、まったくありませんでした。みなさんおなじみの、あの頑張り屋で慌ただしい彼の姿はどこへやら。。。
じきにサンタは、ぽつりぽつり語り始めました。
「子どもたちに教えてあげてくださいよ。」
「えっ、いったい何を?」
私が何のことやらピンとこないのを察したサンタさんは、急いでツリーの陰へ。そこからおもちゃのたくさん入った袋を引っ張り出してきました。
戸惑って立ちすくんでいる私に、彼はひとつひとつ説明を始めました。
「子どもたちに教えてあげてください。みんなが忘れかけてしまっている、昔、昔のクリスマスの本当の出来事を。」
まず彼は、袋からモミの木を取り出し、暖炉の前に置きました。
「子どもたちに教えてあげてください。どっしりしたモミの鮮やかな緑色は一年中変わらないでしょう? これは人の世に永遠に続く希望を表すのです。モミの葉先は天を向いているでしょう? それはね、世界中の人の心が天国に向くようにという願いのしるしなのですよ。」
今度は星を引っ張り出してきました。
「子どもたちに教えてあげてください。昔、昔、星は空に輝く約束のしるしでした。神さまは、救い主をこの世に送って下さることを約束してくださいましたよね。そしてその星は、その時まさに約束がかなえられたこと示したのです。」
次にキャンドルを取り出しました。
「子どもたちに教えてあげてください。このキャンドルは、イエス・キリストがこの世の光であることの象徴なのです。この光を見つめながら、私たちの人生を光でいっぱいにして下さるイエスさまのことを思い出しましょう。」
彼は袋のところに戻り、リースを取り出して木にかけました。
「子どもたちに教えてあげてください。リースはね、本当の愛の形なのです。本物の愛は、決して終わらないのです。神様の愛ってそういうものでしょう? 始めもなければ終わりもない。」
次に彼は、サンタ(彼自身)の飾り物をひっぱりだしました。
「子どもたちに教えてあげてください。サンタクロースっていうのはね、12月になると何となく私たちが感じる親切心や、優しい気持ちのシンボルなのです。」
彼はまた、ヒイラギの葉を運んできました。
「子どもたちに教えてあげてください。ヒイラギは、死にさえ打ち勝ったという証なのです。私たちの救い主がかぶせられた痛い痛いとげの冠です。その赤い実は、その救い主が流された血の色です。
次に彼が取り出したのがプレゼントでした。
「子どもたちに教えてあげてください。『神はその一人子を賜ったほどにこの世を愛して下さった。それは御子を信じるものが一人も滅びないで、永遠の命を得るためである。』私たちは、そのとっても特別なプレゼントを神さまに感謝しましょう。三人の博士が、生まれたばかりのイエスさまに、黄金、乳香、没薬を贈ったのを知っていますよね? 私たちは、博士たちと同じ思いを忘れないで、大切な人にプレゼントをしましょう。」
それからサンタは、袋から赤と白のキャンディースティックを取り出し、ツリーにかけました。
「子どもたちに教えてあげてください。この曲がったキャンディースティックは、羊飼いの杖なのですよ。この杖が、迷った私たちを正しい群れに連れ戻してくれるのです。」
再び、袋に手を伸ばし、今度は天使を。
「子どもたちに教えてあげてください。天使は救い主がお生まれになったニュースを真っ先に伝えてくれたでしょう。『神に栄光が、地の人々に平和があるように!』って。」
突然、リン、リン、リンという音が聞こえたと思うと、最後に彼はクリスマスベルを取り出しました。
「子どもたちに教えてあげてください。迷子の羊は、このベルの音で見つけられたのです。この音が私たちを神さまのところへ導いてくれる。クリスマスベルは、迷子になった私たちを導き出し、正しい場所に連れ帰ってくれる神さまからのリン、リン、リンでしょう。神さまの目に、私たちは一人残らず尊い者ですからね。」
サンタは振り返って、少し満足したみたいでした。でも私は、彼の目に光る物を見ました。そしてサンタはこう言い残したのです。
「忘れないで下さい。子どもたちに本当のクリスマスの意味を教えてあげることを。そして、私をクリスマスの主役にするのはやめて下さい。私はただ、本当の主役である方にそっと仕える者でありたいだけなのに。彼こそ、私が礼拝する私たちの主、私たちの神さまですよ。」
※以上は”True Meaning of Christmas“を和訳したものです。