~オリーブの香り~ No 215 『還る』

火曜の夕方、フルート奏者の方々が控え室に戻り、車椅子で点滴をぶら下げた患者さん達を病室に送り終えた後、中庭の緑の木々を眺めながら食堂の椅子を片付けていた。ふと...30年前の出来事を思い出す。


あの時は、父の傍らで聴いていた。

病と向き合う人々に、音楽という癒しのギフトが、生きるエネルギーに変わる時間。


20年前の出来事も思い出す。

激しい腹痛に見舞われ、救急車で運ばれたまま、数週間入院していた事を...。

スタスタと歩けるようになって、ロビーで奏でられるクラシック曲に、耳を傾けてやさしい身体に戻っていくことを実感したあの日。


10年前も同じ...この時は、自分が声を放ち歌った。

ガラス越しに聞いてくれたパジャマ着の幼い子供たちに、涙が溢れた。


父と一緒に聞き、自分ひとりでも聴き、奏でもして、今は病院内での音楽環境を整える側に立つ...。


20年以上続いている、カトリック教会のクリスチャンを中心に構成された、ボランティアの会に参加している。プロテスタント信者も、信仰を持たない者も共に奉仕に従事している。

ここでの世界は多様性に富んではいるが、それぞれの場所から、痛みや苦しみという共通項を抱え、回復を祈り、還る処を悟る時を与えられる。


その、ほんのひと時の中に、神の音楽が在る。


~主よ私をお使いください~

主よ、今日一日

貧しい人や病んでいる人を助けるために

私の手をお望みでしたら

今日、私のこの手をお使いください


マザーテレサの祈りより...


人はみな、主の元に還るのだ。

...還れるのだ。


ハレルヤ!


by MxM